ステップ11では、【家事按分】について説明し、会計ソフトに設定・入力していきます。
按分率は?計算方法は?
じっくり解説したうえで、会計ソフトの設定・入力方法まで説明するので安心してください。
引き続き、基本無料のクラウド会計ソフト「MFクラウド確定申告」を用いて、解説を進めます。
家事按分とは
個人事業主やフリーランスであれば、自宅を事務所として使用している方も多いかと思います。
自宅兼事務所の経費(電気代・電話代・インターネット接続料等)は、
事業で使用した分だけが経費として認められます。
このような家計にも関連する経費を「家事関連費」と呼び、事業と家計で経費の割合を分けることを『家事按分』といいます。
家賃であれば「占有率」や「部屋数」、水道光熱費などは「事業で使用した割合」で按分率を定めます。
按分率の定め方
家賃 |
占有率 |
---|---|
水道光熱費 | 事業で使用した割合 |
通信費 | 事業で使用した割合 |
法律や条令で厳密に計算式が定められているわけではありません。按分率は自分で定めます!
税務署に聞かれたときに説明ができ、納得してもらえばOKです。
按分率の計算例
3部屋の家に住んでいて、1部屋を事業専用にしている。3部屋(1部屋の占有率30%)と風呂トイレで10%の占有率なので、事業30%家計70%で按分率を定めた。
銀行データの自動連携をしている場合
概要 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
家賃が事業用の口座から引き落とされた | 地代家賃 100,000 | 普通預金 100,000 |
家賃のうち70%は通常の生活に使う | 事業主貸 70,000 | 地代家賃 70,000 |
銀行データの自動連携をしている場合、いったん全額が経費として計上されます。
事業に使用する割合を会計ソフトに設定することで、自動で家計分が「事業主貸」に振り分けられます!
いちいち電卓で計算して、30%だけを経費入力〜なんて手間をかける必要はありません!
会計ソフトの設定例
■TOPメニュー「決算・申告」から「家事按分」を選択します。
■「家事按分設定を追加」をクリックします。
■勘定科目を選択し、事業に使用する割合を入力したら「保存」をクリックします。
■作成された家事按分設定(ここでは地代家賃)の「仕訳作成」をクリックすると、地代家賃のうちの家計使用分が自動で「事業主貸(家計分)」に振り分けられます。
※銀行データ自動取込で、家賃(地代家賃)は仕訳入力済の前提となります。
データ自動連携していない場合・経費を手入力した場合の按分入力方法
上記では銀行データを自動取込していて、口座から引き落とされた場合を例として示しました。
次は、データ自動連携していない場合・経費を手入力した場合の按分計算方法を解説します。
水道光熱費の按分
今度は水道光熱費を例に按分の解説をします。
自宅兼事務所の電気代・ガス代・水道代の按分率を、使用割合によって定めます。
按分率
経費の詳細 | 事業割合 | 家事割合 |
---|---|---|
電気代 | 20% | 80% |
水道代 | 10% | 90% |
ガス代 | 10% | 90% |
水道代・ガス代はほとんどが風呂・トイレ(=家計)に使用。事業利用はお湯を沸かしてお茶を入れるくらいなので10%とした。
電気代はもう少し事業に使う(パソコン等)ので20%とした。
事前設定:補助科目で勘定科目を分ける
電気代も水道代もガス代も、勘定科目としては「水道光熱費」となります。
補助科目で「電気・水道・ガス」を分ければ、個別に按分率を設定できます。
会計ソフトで設定
■MFクラウドのTOPメニュー「設定」から「勘定科目の設定」をクリックします。
■「損益計算書」をクリックしてから、「補助科目追加」をクリックします。
■勘定科目から「水道光熱費」を選択し、補助科目に「電気代」と入力します。
同じように水道代・ガス代も設定します。
按分率の設定
■TOPメニュー「決算・申告」から「家事按分」を選択します。
■「家事按分設定を追加」をクリックします。
■「勘定科目」から水道光熱費を選択し、「補助科目」から電気代を選択、「事業費率」に20%と入力し「保存」をクリックします。
同じように水道代・ガス代も個別に按分率を設定します。
これで、水道光熱費の中でも「電気・水道・ガス」で按分率を分けて設定できました。
水道光熱費の仕訳入力
12/13、電気代5,280円が、個人のクレジットカードから引き落とされた。
■TOPメニュー「入力・仕訳」から「詳細入力」を選択します。
■借方の勘定科目から水道光熱費を選択し補助科目から電気代を選択。貸方の勘定科目から事業主借を選択。金額を入力し日付を入力します。
水道光熱費(電気代)を一括で「事業」と「家計」に分ける
■作成済みの家事按分設定「水道光熱費:電気代」の「仕訳作成」をクリック
80%分が家計利用分として自動計算され、「事業主貸」に振り分けられます!
これなら、
- 電気代の按分率を確認して
- 領収書を見ながら20%の金額を電卓で計算
- 計算した数値を入力する
こんな手間が一気に省けます!!
補助科目の設定や、按分率の設定は最初に1回だけやればOK!
1年分の経費を、難しいことを考えずに領収書の金額そのまま入力!
最後に按分の画面から「仕訳作成」ボタンを押せば、1年分の経費がまとめて振り分けできます。
※もちろん、こまめに経費入力し、こまめに「仕訳作成」ボタンを押して経理の途中状況を確認してもOKです。
その他の家事関連費
家賃だけでなく、更新料や火災保険料なども按分して経費にできます。
また、冬の暖房に使う灯油代(勘定科目:水道光熱費)や、電話代・インターネット接続料(勘定科目:通信費)なども按分して経費にできます。
自家用車を仕事にも使用している場合
車の減価償却費や、ガソリン代・駐車場代・保険料・車検費用・自動車取得税なども、按分して経費にできます。
※勘定科目:車両費
ダメな按分率・経費計算の例
- 1台しかない携帯電話の料金を100%経費に→プライベートで携帯使わないんですか?
- 水道代を80%経費に→根拠無く高すぎる按分率は税務署に突っ込まれたらアウトです!
根拠を説明できる割合で、按分率を定めましょう。
まとめ
これで按分率を定め、会計ソフトに入力できるようになりました。
解説した入力例を応用すれば、車両費や通信費の家事按分も自動計算することができます。
- 補助科目の設定
- 按分率の設定
これさえわかれば、家事按分の入力もカンタンです。
このまま入力を進めていけば
複式簿記の表にするのも、確定申告書を作るのも、会計ソフトがやってくれます。入力だけ頑張りましょう!
疑問・質問が残った方はMFクラウド確定申告のヘルプページも参照してみて下さい。
また、実際の入力で悩んだら、無料のサポートへ問い合わせてみて下さい。
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